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たった5分で分かる『7つの習慣―成功には原則があった』(スティーブン・R. コヴィー)

スティーブン・R. コヴィー著『7つの習慣―成功には原則があった』は、発売以来全世界で2,000万部以上を売り上げ、ビジネス本を特集した書籍でも度々紹介されているなど、各方面から非常に高い評価を得ているビジネス本/自己啓発本だ。最近は『まんがでわかる7つの習慣』なんてものも売っているらしい(こういう類の本ってなぜか漫画化されるよね)。

 
完訳 7つの習慣 人格主義の回復

完訳 7つの習慣 人格主義の回復

  • 作者: スティーブン・R・コヴィー,フランクリン・コヴィー・ジャパン
  • 出版社/メーカー: キングベアー出版
  • 発売日: 2013/08/30
  • メディア: 単行本
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このように有名な本なので、知っている人も多いかもしれない。しかし、価格が2,310円と高額なので買う気になれない人もいるだろう。また、分厚い本なので読む気が失せてしまうという人も多いだろう。そんな方のために今回は、7つの習慣のエッセンスを紹介してみよう。
 

七つの習慣の基本的な考え

著者は、まず自分自身の内面(インサイド)や人格、動機を変え、それから他人や環境という外側(アウト)を変える「インサイド・アウト」というアプローチによって人生を成功に導くとしている。その過程において、「7つの習慣」を順を追って身に付ける必要性を強調している。
 

私的成功

まずは、自分の内面を変え、自立する「私的成功」のために、第1の習慣:主体性を発揮する、第2の習慣:目的を持って始める、第3の習慣:重要事項を優先するの3点が必要としている。
 

公的成功

そして、他人と協力し自身が及ぼす影響の輪を広げる「公的成功」のために、第4の習慣:人間関係におけるWin-Winを考える、第5の習慣:相手を理解してから自分を理解してもらう、第6の習慣:他人との相乗効果を発揮するの3点が必要としている。
 

刃を研ぐ

最後に第7の習慣として、人の持つ4つの資源(肉体、精神、知性、社会・情緒)を維持し、磨いていくことによって、第1~第6の習慣の全てをより高いレベルに引き上げていくことが可能だと主張している。
 

7つの習慣のエッセンス

本書では、それぞれの習慣を身につける必要性を訴える例え話や同じ話の繰り返し、周りくどい表現などに、文章の大半が割かれており、冗長感は否めない。そのため7つの習慣それ自体は、いたってシンプルである。検索してみたところ、7つの習慣を要約したWebサイトやブログは数多くあるが、その中でもなんと天下のオンライン百科事典・Wikipedia7つの習慣 - Wikipedia」が、かなり分かりやすくまとめられていたので引用させてもらおうと思う。不十分で分かりにくいところは、解説を加えさせていただいた。

 

第二部・私的成功 (Part 2 Private Victory)

第一の習慣・主体性を発揮する (Habit 1 Be Proactive)

  • 自分の身に起こることに対して自分がどういう態度を示し行動するかは、自らで決めることができる。
  • 問題解決に向け率先してことを行う。
  • 自分の身の周りのことに対して、自分が動かされるのではなく、自分が周りの環境に作用を及ぼす。
  • 自分がコントロールできないことでなく、自分がコントロールできる、影響を及ぼすことができる事柄に集中する。
  • より良いものを持つのではなく、自分がより良くなる。
  • 失敗したときに、自分の間違いを認め修正をはかる。

主体的な人とは、自分のコントロールできる事柄(影響の輪)に集中することにより、積極的なエネルギーを生み出し、それによって影響の輪を拡大するそうだ。

 

第二の習慣・目的を持って始める (Habit 2 Begin with the End in Mind)

  • 第二の習慣は、生活の多くの異なる状況やレベルに当てはまるが、最も基本的な応用は、全てを測るための基準や尺度の枠組みとして、人生の最後のイメージ、光景、パラダイムを持って今日を始めることである。
  • 万物にはまず人の頭の中で知的にものが作られ、それから実際に物的にそのものが作られる。
  • ミッション・ステートメント(個人的な憲法、または信条)を作る。 

ミッション・ステートメント(個人的な憲法、または信条)とは、自分はどうなりたいか、何をしたいのか、そして自分の行動の基礎となる価値観や原則を明らかにしたもの。これが人生重要な決断を行う基礎となり、激しく変わる環境の中で、不変の安定性と力を与えてくれるそうだ。

 

第三の習慣・重要事項を優先する (Habit 3 Put First Things First)

  • 第2の習慣を身に付けたなら、それを具現化し、自由意志を発揮し、毎日の瞬間瞬間において実行する。
  • 価値観に調和した生活を送るために、効果的な自己管理を行う。
  • 重要だが緊急でない活動を行う。
  • 重要でない活動に対してノーと言う。
  • デレゲーション。人に仕事を委任する。

 

第三部・公的成功 (Part 3 Public Victory)

相互依存のパラダイム (Paradigms of Interdependence)

  • 第4,第5,第6の習慣を達成するためには、他人との信頼を築く必要がある。

第四の習慣・Win-Winを考える (Habit 4 Think Win/Win)

  • 人間関係における6つのパラダイムWin-Win」「Win-Lose」「Lose-Win」「Lose-Lose」「Win」「Win-WinまたはNo Deal」。
  • Win-Winの原則を支える5つの柱「人格」「関係」「合意」「システム」「プロセス」。

Win-Win」とは、自分も勝ち、相手も勝つ、それぞれの当事者がほしい結果を得ることである。そして、当初それぞれの当事者が持っていた案ではなく、全く新しい第三案の存在を信じることであり、相手と自分の考え方に限定される必要はなく、より良い方法があるはずと確信することである。

 「Win-WinまたはNo Deal」とは、双方が納得できる相乗効果的な解決策を見つけることが出来ず、Win-Winの合意または取引条件に至らなければ、取引しないことに合意することである。

  Win-Win以外は低次元の選択であり、長期においてはお互いの影響に悪影響を及ぼすことになるだろう。その影響からもたらされる弊害を考えれば、Win-Winが達成できなければ、No Dealを選ぶほうが適当だそうだ。

 

第五の習慣・理解してから理解される (Habit 5 Seek First to Understand, Then to Be Understood)

  • まず相手を理解するように努め、その後で、自分を理解してもらうようにする。
  • 自分が他人に影響を与えるために、自分が他人に影響される。
  • 人が他人の話を聞く時にしてしまう自叙伝的な反応。
  • 感情移入を行い人の話を深く傾聴する。
  • 一対一の時間を設けコミュニケーションを図る。

 

第六の習慣・相乗効果を発揮する (Habit 6 Synergize)

  • 相乗効果とは、全体の合計が各部分の和よりも大きくなるということである。
  • 自分と他人との意見に相違が生じた時に、自分の意見を通すのでなく、他人の意見に折れるのでもなく、第三案を探し出す。
  • 自分と他人との相違点を尊ぶ。

 

第四部・再新再生 (Part 4 Renewal)

第七の習慣・刃を研ぐ (Habit 7 Sharpen the Saw)

  • 人の持つ4つの資源(肉体精神知性社会情緒)を維持、再新再生するという習慣。例として、運動(肉体)、価値観に対する決意(精神)、読書(知性)、公的成功(社会・情緒)などが紹介される。

再びインサイド・アウト (Inside-Out Again)

  • 今までの世代で得た良い物は残し、悪い習慣は改め、次の世代に引き継いでいく。
  • 人間は自らを完成させることは出来ず、探究に終わりはない。

 

まとめ

以上が7つの習慣のエッセンスだ。こうして見てみると突飛な習慣はなく、当たり前のことが並んでいると思われるだろう。確かにこれらの習慣を身に付けることができれば、幸せな方向へ進んでいくというのは一理あるかもしれない。
 
筆者によると、書かれている7つの習慣を理解することでなく、文字通り「習慣」化することが重要なんだそうだ。実際、こういった習慣を身につけるとどのようにプラスになるかは理解はできても、なかなか習慣化しづらいものだろう。
 
もちろん、これらの原則を身に付ければ必ず「成功」するというわけではないだろう。自己啓発本の内容をそのまま信じこみ、実践するというのは、それはそれで問題だ。今度「自己啓発本が想定しているのは善人ばかりの世界」という記事を執筆してみようと考えている。