THE KINGDOM POST

まことに小さな国が、開化期を迎えようとしている。

読点(、)の使い方 〜たかが読点、されど読点。読点の使い方を振り返ろう〜

学校で読点の細かい規則について習った記憶がない、という人は多いのではないでしょうか。読点の打ち方というのは、文章を書いていくうちに、自然と身につけていくものなのでしょう。実際、明確な規則は存在せず、筆者の裁量が大きいです。直観的に打ってるという人も多いのではないでしょうか。それでいて、読点は、理解しやすい文章を書くために非常に重要な要素です。適切に使われることで、読みやすく、読み誤りを防ぐこともできるという重要な働きをしています。

 

私自身、文章を執筆している際に、どこに読点を打ったら読みやすいか迷うことが多々あります。同様の経験をお持ちの方は、多々おられると思います。

 

そこで、今回は読点の使い方を調べてまとめてみました。参考になれば幸いです。

 

読点(、)の使い方に絶対はない

大前提として、読点の使い方に、「正式」な規則というのは存在しません。なので、必要度の高い所から読点を打つことになります。ただ、読点が多すぎると、語句の修飾関係がわかりにくくなるので、注意する必要があります。こういった読点の打ち方は、一つ一つの文によって変わるので、一概には言い切れないところもあります。なので、様々な情報を参考に、自分なりの使い方を決めることが大切でしょう。

 

まずは一文を短くしよう

読点を打つ目的は、文を読みやすくするためと、様々な解釈ができる文をつくらないことにあります。読点の使い方云々の前に、一文中の読点が多いならば、それだけその文章の複雑さを表しているということを理解しておきましょう。文章は、情報を載せて運ぶ伝達手段です。一文に多くの情報を詰め込んでしまうと、 読み手に大きな負担になるものです。意味不明な文章になったり、意味の取り間違いが発生するので、情報を何回かに分けて運ぶようにしましょう。一文で伝えることは1〜2つ 。一文は出来るかぎり短くすることが理想的です。

 

かなり極端な例ではありますが、次の文は日米安全保障条約の前文です。ご覧のとおり、これを一度読んだだけで理解するのは、なかなか困難でしょう(笑)

 

日本国及びアメリカ合衆国は、両国の間に伝統的に存在する平和及び友好の関係を強化し、並びに民主主義の諸原則、個人の自由及び法の支配を擁護することを希望し、また、両国の間の一層緊密な経済的協力を促進し、並びにそれぞれの国における経済的安定及び福祉の条件を助長することを希望し国際連合憲章の目的及び原則に対する信念並びにすべての国民及びすべての政府とともに平和のうちに生きようとする願望を再確認し、両国が国際連合憲章に定める個別的又は集団的自衛の固有の権利を有していることを確認し、両国が極東における国際の平和及び安全の維持に共通の関心を有することを考慮し、相互協力及び安全保障条約を締結することを決意し、よつて、次のとおり協定する。

 

読点の使い方、6つのルール

ルール1 主語の区切り

主語の後には、読点を打つことが一般的です。特に主語が長い場合は、使用した方が分かりやすくなります。ただし、短い文では、無理に使用する必要はありません。主語の後には読点を、と主張しているWebサイトは多いですが、むしろないほうがすっきりしています。

 

【例】

・私は六本木を歩いている。

 →これぐらい短いと、わざわざ無理に読点を入れる必要はありません。

・国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。

・この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。

 →主語が長いので、読点を入れた方が分かりやすいです。

 

ルール2 接続詞の後

接続詞 (しかし・そして・だから・つまりなど) の後には、読点を入れることが一般的です。接続詞は、文章の流れを促したり、変えたりすることに使うため、読点によって区切ったほうが、文全体の意味がくみ取りやすくなります。また、「この場合」や「以上のように」など、文と文をつなぎ、接続詞と同様の働きをする言葉の後にも、読点を打ちます。

 

【例】

・9回に必死の追い上げを見せた。けれども、あと一歩及ばなかった。

・この場合、どのようにすればよいでしょうか?

 

ルール3 接続助詞の後

接続助詞 (ば・から・ので・て・が・のに・けれど・ても・し、など)のように、条件や理由を説明して意味を限定する語句の後に打つことも多いです。

 

【例】

・私が必死に走っても、電車に間に合わなかった。

 

ルール4 時間や場所を示す言葉の後

新聞記事では日付や時刻・時間のあとに、必ずと言っていいほど読点がうたれていますね。

 

【例】

・平成25年12月12日、安倍総理は総理大臣官邸で記者発表を行いました。

・ご来店の際は、必ずご予約ください。

・ ブラジルでは、ワールドカップの準備の真っ最中だ。

 

ルール5 意味の取り違えを防ぐため

読点を打つことで、修飾語がどこにかかるかを表し、文意を明確します。文によっては、読点を打つ位置で、意味合いが変わってしまうことがあるので、注意しましょう。

 

【例】

・FBIが、自動車に乗って逃げる容疑者を追いかける。

 →自動車に乗っているのは容疑者。  

 

・FBIが自動車に乗って、逃げる容疑者を追いかける。

 →自動車に乗っているのはFBI。

 

ルール6 いくつかの動詞や形容詞を並べる場合

いくつかの動詞や形容詞を並べる場合は、語句の切れ目に打ちます。(ただし、こちらも短い文では無理に使用する必要はないと思います。ないほうがすんなり読みやすい場合もあるので。)

 

【例】

・彼は明るく、優しい先生です。

・彼はおおきく振りかぶって、ボールを投げた。

 

ルール7 並列関係にある語句の後に打つ

【例】

・巨人、阪神、広島、中日、横浜、ヤクルト

 

余談ですが、読点「、」と中黒「・」の使い分けとして、中黒は複数の単語を並列しまとまった概念を示すときに使われ、読点は並列する物が単語でない場合や、併せてまとまった概念を示さない場合に用いられるようです。(参照:中黒 - Wikipedia

 

ルール8 修飾部分が長く続く場合、大きな切れ目に打つ

【例】

・ボールの統一を目的に導入された、規定よりも反発係数の低いいわゆる「統一球」がプロ野球界に大問題を引き起こした。

 

ルール9 言葉や考え方など引用をあらわす

【例】

・ 株価は更に下がり続ける、というのが大方の予想だ。

 

ルール10 時間や場面が変わるところに

【例】

・彼は3年前に銀行を退職をして、今は外資系ファンドに勤めている。

 

 

まとめ

今回は読点の主な使われ方を、10のルールにまとめてみました。この他にも、助詞を省略した後や感動詞のあとに打つなど、その使用方法を分類しようと思えば、かなりの数になるでしょう。また、小説などでは、読点の打ち方ひとつで、文章の印象が全くと言っていいほど変わってしまいますよね。やはり、読点の使われ方は多種多様だからこそ、明確に規則化しにくいものなのですね。

 

でも、読点の使い方を意識するとしないでは、大違いかと思います。「読点を打つ目的は、文を読みやすくするためと、様々な解釈ができる文をつくらないこと」という目的を意識し、文章を執筆するようにすれば、読者にとって読みやすい文章になるのではないでしょうか。