THE KINGDOM POST

まことに小さな国が、開化期を迎えようとしている。

就活では、エントリーするばするほど有利なのか

最近、街中では説明会の帰りと思われる就活生たちがたくさん見受けられる。この時期は、解禁ということで、様々な企業にプレエントリーしたり、業界を問わず興味のある企業の説明会に参加するという「幅広く」就活を行う時期だ。その中で、100社ぐらいを目標にひたすらプレエントリーするという就活生も多いだろう。

 

その中で、はたして数多くの企業にエントリーすることは内定を取る上で、効果的な行為なのだろうかと気になる人もいるのだろう。

 

 
実際、私の就活の時には、リクナビはエントリーの目標数みたいなのを表示していたし、マイナビは「もしかして持ち駒不足?」とかいうような、イラっとするメールを送ってきた。数多くエントリーすれば、それだけチャレンジの機会が増え、内定という結果に繋がるという論理なのだろう。
 
私は、プレエントリーの数は多くてもいい、しかしエントリーは絞るべきと考えている。そして何よりもまず、両者は性質の異なるものだという意識を持つことが必要だ。
 
プレエントリーというのは、「企業情報を受け取ります」という申し込みだ。具体的には、企業の採用ホームページで、名前や住所などを入力し、申し込むとログイン用のIDが送らててきて、以後、ログインすることで企業情報を見れたり、メールで説明会の情報などが送られてくる。つまり、選考を受けるためにESを出すかは未定だが、情報だけはくださいという申し込みのことを指す。
 
この段階では、ちょっと興味をもったからとりあえずプレエントリーしてみようというのはありだし、むしろそうすべきだと思う。志望業界などが決まっていない場合は、そういう素直な興味をきっかけにして、情報を集めていくことが求められる。もちろん、数多くプレエントリーすればそれだけメールが送られてくる回数も増えて、裁く手間が増えるのだが。
 
しかし、広げた風呂敷は畳まなければならない。
 
エントリーの段階、つまりESを出し面接のお呼びを待つという段階では、志望する企業を絞る必要がある。面接においては、志望動機や会社に入ってどういうことをしたいかなど、その企業ごとに語らなければならない。数多く受けすぎると、これらの準備が全く追いつかなくなってしまう。また、多くの企業は4月1日から一気に面接を始めるが、スケジュールからしても、面接は1日2社ぐらいが限界だ。プレエントリーをそのままエントリーにつなげてしまうと、色々と無理が生じてしまうのだ。
 
また、「ちょっと興味をもってプレエントリーした、ついでにエントリーしてみよう」という思考も危険だ。就職活動時、私は金融業界は志望していなかったが、ふと興味を持った信用保証協会へ試しにエントリーしてみた。ESが通って、面接に呼ばれたわけだが、「他にどういう企業を受けているのか」と聞かれた。そこで金融業界をほとんど受けていなかった私は、返答に困ってしまった。時期的に割りと早めの面接で、まさかそんな質問が飛んでくるとは思っていなかった。
 
後に分かったのだが、「他にどういう企業を受けているのか」という質問は、面接で本当によく聞かれる。そこで、その会社と全く違う業界の会社の名前などを出してしまうと、志望度を疑われる可能性が高い。そういう面倒はごめんなので、より志望度が高い業界の会社の名前は出さず、同業界の会社の名前を出していた。
 
「ちょっと興味をもってプレエントリーした、ついでにエントリーしてみよう」という感じで、単発的にエントリーしていては、こういうことに対応できないのだ。志望する業界はしっかりと定めた上で、エントリーすべきだし、そのほうが志望動機を考える際など効率がいい。(志望動機は、なぜその業界を志望するのか、その中でなぜ貴社なのか、という順で組み立てていくことが思考の流れとしては普通なので。)
 
興味をきっかけに幅広く企業を当たってみて、その中で受ける企業を選んでいく、というのは常識的に考えれば、ごく普通の流れだ。しかし、就職活動というのは、就活サイトの煽りであったり、自らの不安であったり、色々な要因がもとで、そういった普通の流れというのを忘れてしまいがちになる。そういった影響を受けないことが大切なのだろう。(後になってみればなんとでも言えるものだが、実際、普通の精神を保ち続けるというのはなかなか難しいものだ。)